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ゴルフ 泳ぐ 自由な人生を手に入れる

死体と同じです。力を抜けば、浮いてくるんです。意志ではなく、あきらめの境地なのである。

「はい。皆さんに共通して言えることがあります」
桂コーチが人差し指を立てて言った。
私も?と思った。

「皆さん水をかこう、かこう、としています。
水をかこうとしないで下さい。
水をかいて進もうとしないで下さい」

彼女は両腕で手元の水をバシヤバシヤと自分の方にかいて見せた。
「こうやってかくと、
自分の体に波がぶつかって進みません。
だから、かこうとしてはいけないんです」

では、どうすればよいのか?、
水をかかずに、ここで何をするのか?

「水をおさえるんです。
水をおさえて、体重移動で、前に進むんです」

なるほど。まず、ゆらゆらをおさえるのだな、と私は理解した。
桂コーチが片手を水面に浮かべた。
私たちも真似をする。

「力を抜くと、浮力で手が浮いてきますね」
確かに浮く。みんなでうなずく。

「それをクッとおさえるのです」
浮ききらないあたりで、水を軽くおさえるのである。
しかし、ほんのわずかな力でおさえられるので、おさえた気がしない。
単に水中で手を止めている感じもする。

半ば気が動転している私は、
確認のため何度も繰り返しているうちに、
浮いているのか、おさえているのかわからなくなってしまった。

まわりの女性たちが「あら、ホントね」と口々に言うので、
私も調子を合わせ
「なるほど」とうなずきながら、
水中で手を浮かせておさえ、浮かせておさえた。
風でもあおぐように。

「浮こうとしないで下さい!」
桂コーチが両手を振り上げた。
彼女の声はプール中に響きわたり、
隣のコースにいる人々も思わず聞き耳を立てている。

「浮こうとして、水中で手を上げようとすると、
ものすごい力がかかってきます」

やってみるとわかる。
水中で両腕を下げ、そこから上ヘ持っていこうとすると、
水の重さで腕がよれそうになる。

「浮こうとすると、浮力を殺してしまうんです。
ですから浮こうとしてはいけません。
あくまで、浮いてしまうから、それをおさえるんです」

「浮こう」ではなく「浮いてくる」「浮いてしまう」。

意志ではなく、あきらめの境地なのである。

「死体と同じです。力を抜けば、浮いてくるんです」

いったん死ぬのか、と私は思った。
死体、死体、と念じながら、体を横たわらせる。

確かに初めは浮いているが、
しばらくすると足の方から沈んでいく。
どうしても死にきれないのだろうか。

「浮いてくる」というより「沈んでいく」感じ。
なにぶん死んだことがないので、このあたりの要領はよくわからない。

「それじゃ顔をつけて。それで頭をグッと沈めてみてください」

息を吸い込み、桂コーチの言うとおりに、
立ったまま頭を深く突っ込んでみる。

するとどうだろう。
ものすごい力で、自分の頭が浮き上がってくるではないか。

まるで、水から跳ね返されるようで、
私は驚き、頭が空っぽなのか、と思った。

考えてみれば「浮いてくる」ことを実感するには、
いったん沈まなければならない。
沈んだからこそ「浮いてくる」。

最初から「浮こう」とするから沈んでいくのである。

「すごいでしょ」
すごいです。

「これが浮力です。
だから泳ぐ時も、おでこで、水をおさえるんです。
おでこが天井を向いていたら、おさえられません」

おでこで水をおさえる。
手で水をおさえ、
ボールを抱えるように後ろへ回す。
足も左右交互に水をおさえ、
浮いてきたら、またおさえる。

おさえると、浮いてくる。
浮いてくるから、またおさえる。

これが水泳の基本原理なのである。水の中で生死の境をさまようのだ。

桂コーチが見本の泳ぎを見せた。
プールの中央からすっと水の中に入り、
水しぶきをまったく立てずに、ゆっくりと腕が回り、
気がつくと、岸まで着いていた。
水をかいたり、バタ足をした様子もなく、
なにやら水と水の隙間をすり抜けるような泳ぎ。

美しい泳ぎは「魚のように」と譬えられるが、
コーチの泳ぎは魚ではなく、海藻が流れるようだった。

「きれいね」「ホントきれい」
生徒たちが歓声を上げ、
私もつい、うっとりした。
こんな美しい泳ぎは見たことがなかった。
引用元
「はい、泳げません」

今日からゴルフスイングの悩みに関する
考え方が変わることでしょう。
なぜなら、ゴルフ上達に関する
多くの常識が間違いであることに気づくからです。

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「挫折」の道をたどる方がほとんどなのです。